2010年度 若手支援セミナーが催されました

去る2011年3月4日、東京大学駒場キャンパスにて2010年度若手支援セミナーが催されました。
あらためて然るべき活動記録が公開される運びとなるかと思いますが、当日の様子を簡単にご紹介しておきます。

[イベント概要]

 オープニングスピーチとして岡崎敦氏(九州大)は「文書館で中世について研究すること」を講演され、近代的制度としての文書館制度、また恣意的収集文書群としてのアーカイヴの性格について述べ、ある種のイデオロギーとぬきがたく結びついているという点について示唆されました。研究者はその意味において、自らが整理し引用する収集史料についての責任をもつのだということが強調されました。そのうえで、氏は広く現地の文書館において史料作業を行う若手研究者へのエールを送りました。
 佐々井真知氏(お茶の水女子大)は「中世ロンドン史研究における史料と文書館」について報告され、ご自身の体験に触れつつ、ロンドンの文書館の活用についてレクチャーされました。特に出発前の下調べ、連絡についてアドヴァイスがなされました。
 山本成生氏(東京大)は「電子書籍時代の文書館活用術」と題して報告され、フランスの県立文書館の利用についてレクチャーされました。氏は軽妙なトークで会場の笑いを誘いつつ、生の史料へのアクセスについて実例を紹介され、また電子媒体を用いて史料をよりよく活用することを提言されました。
 30分の休憩を挟んで、大貫俊夫氏(学振特別研究員)が「独仏国境地域研究と文書館」と題して報告されました。氏はカラフルな修道院教会堂の写真を示しつつ、ベルギー、ドイツ、フランスの文書館の相違を例をあげ紹介されました。史料収集のためにこそ会話能力が求められるという体験談の紹介が印象深いものでした。
 最後に中谷惣氏(学振特別研究員)が「イタリアの文書館で史料を読む」と題して報告されました。氏は研究開始から「どの史料にアクセスできるか」という観点から研究対象をチョイスするかという実践面に触れ(この点大貫報告と同様の観点から述べられました)、特に「読めない文書がどのように読めるようになっていくか」、文字を読めるようになるプロセスを具体的に紹介されました。
 報告ののちにラウンドテーブルが催されました。

 全体として、手探り状態の若手研究者にとっては心強い情報提供がなされたように思われます。現場での史料へのアクセス、実践の要素にくわえ、収集されたデータをどのように効率よく整理、活用するかについて電子辞書アプリケーションやExcel等を用いるやり方が具体的に紹介されることで、作業の具体的なイメージを惹起することに成功したのではないでしょうか。

スタッフ・関係者・ご参加された皆様のご尽力に感謝申しあげます。

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